2021年4月：ご挨拶

2021年04月01日

　温暖化の影響でしょうか、今年も春は早くやって来ました。宝仙寺の桜は3月12日に開花し、お彼岸の頃にはかなり咲いていました。

　4月8日は花祭りでお釈迦様のお誕生日です。
お釈迦様の大切な教えの一つに「諸行無常」（あらゆる現象は変化してやまない）が有ります。私達は良い状態の時はその状態がずっと続くもの、或はずっと続いてほしいとなんとなく考えてしまいがちですが、変化してゆくことは避けられません。毎年歳を取っていくことはどうする事も出来ません。執着してはいけませんよ、という教えだと思います。

　SNSの発達により、私達は自分の意見を簡単にネット上に発表することが出来るようになりました。ある人やある出来事に対して意見を言うだけではなく、匿名で悪口を言って攻撃をする傾向が見られます。皆で寄ってたかって攻撃をして叩く、ネット上に投稿している本人は何も責任をとらない被害も被らない。
　脳科学者の中野信子さんは、こういう人たちを“正義中毒”という言葉を使って表現しています。他人を制裁すると脳の中の快楽中枢が刺激されドーパミンが分泌して、これを経験すると依存症と同じで止まらなくなるそうです。
　悪い事を行ったり言ったりすることは間違っていますが、情報を精査することもなく一方的に攻撃する、そのために自殺者まで出てしまうという事が最近もありました。不確かな情報で攻撃した人間は知らん顔。とても恐ろしい事です。
私達は知らず知らずのうちにこのように行動しているかも知れません。お互いに十分に気を付けましょう。

令和三年 四月

宝仙寺住職　富田　道生