2016年04月01日
毎年春になると桜の開花時期が心配ですが、それは皆さんが春を、桜を待ち望んでいる証拠だと思います。
宝仙寺の桜はお彼岸に入ってすぐに咲き始めてしまい、早すぎるのではないかと心配しましたがその後続いた寒さのおかげで長く楽しめそうです。
3月24日 京都の梵鐘専門制作会社において、この度新たに再鋳されることになりました当寺の梵鐘の火入れ式が行われました。
当寺には以前、江戸元禄時代の梵鐘が有りましたが、第二次世界大戦の為献納して以来70数年不在でした。
1200度に熱した銅の中に錫を溶かしこみ、真っ赤に煮えたぎる銅と錫の合金を梵鐘の型の中に注ぎ込む様は素晴らしく、感動を覚えました。この梵鐘がこれから何百年にわたって、鳴り響くことを考えるとその最初の火入れ式に立ち会えたことは感慨ひとしおです。
鐘の音は仏教の寺院だけではなくキリスト教の教会でも鳴り響いていることは皆様もご存じの通りです。昔は時計の代わりであったり、合図の代わりであったり、非常時の警報であったりしましたが、時代が移り変わり鐘の役目は変化しました。世の中の環境はずいぶん変わりましたが、人間の情緒に訴えるものは格別なものが有ります。特に日本人は虫の音であったり、松林の梢を渡る松風であったりなど音に対して素晴らしい感覚を持った民族です。
鐘の音が皆様の感覚に永く響くことを期待しております。
平成28年4月
宝仙寺住職 富田道生
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