御府内八十八ヶ所第十二番札所、関東三十六不動霊場第十五番札所

宝仙寺について

2014年10月:ご挨拶

2014年10月01日

 10月に入りいよいよ秋本番になってまいりました。今年の夏は東日本は暑い夏でしたが、西日本では天候が不順で豪雨により大変な被害が起こり、猛暑日は一日もなかったそうです。
 仙台市博物館で東北復興のため開催された、奈良の女人高野 室生寺展に8月下旬に行ってまいりました。来場者が5万人を超えたそうで、私が行った日も結構混んでいました。来場された方々の理由には、遠くて奈良まで行けない、または国宝などの仏像に興味がある等色々でしょう。芸術品としての興味もあるとは思いますが、信仰の対象として何百年という年月を経てきた仏像の醸し出すオーラが人を引き付けるのではないかと思います。
 近年このような博物館での展覧会は、仏像がケースなどに入っているのではなく、オープンなかたちで後ろからも横からも鑑賞する(本来仏像は鑑賞ではなく参拝するものですが博物館ですので鑑賞としました)ことが出来ることが多くなりましたが、仏様たちは明るいところで前から後ろから横からじろじろ見られてさぞお疲れになったことだと思います。今頃は、室生のお堂にお帰りになって"ほっと"されていることでしょう。
 私のような仏教徒が、ヨーロッパなどの教会に行った時は信仰の対象としてではなく観光として行くことになりますので、世界遺産だとか有名な建築、有名な彫刻または絵があるということになりますが、キリスト教徒にとっては信仰の対象ですので、少なくともお参りに来ている方々に失礼の無いように気を付けているつもりです。
 宗教と芸術は洋の東西を問わず、姿形はそれぞれ違いますが常に一体となっているもので、そのようにして芸術品は現代まで受け継がれてきたものだと思います。
 私はいつも、宝仙学園の生徒達に、お寺・神社に行った時は"お参り"に来たという気持ちを忘れずに訪れて下さいと話をしております。

平成26年10月1日

宝仙寺住職 富田道生