2013年07月01日
毎年のことながら梅雨の季節は湿度が高く、湿度による体感への影響はとても大きく、同じ気温でも不快な感じは倍増されます。かと言って雨が降らないと夏の水不足が心配されますので、痛し痒しの時期です。
五月の下旬に奈良の興福寺と東大寺にお参りに行ってまいりました。
興福寺は南円堂(西国観音霊場九番札所)と北円堂(国宝)が一般公開されており、お堂の中に入って、南円堂の不空羂索観音・北円堂の弥勒如来をおまいりしました。東大寺では法華堂(三月堂)の須弥壇の修理が終わって公開されていましたので、本尊不空羂索観音(脱活乾漆像)をおまいりしました。
ご存知の通り、奈良のお寺はどこも古く格別の趣を感じます。
興福寺には有名になりました阿修羅像を含めた八部衆や十大弟子、上述しました法華堂の本尊様、唐招提寺の鑑真和上像等々脱活乾漆像の仏像が奈良の寺院には多くあることを今回改めて感じました。
脱活乾漆像とは粘土などで形を作り、その上に麻布と漆で貼り固めた仏像で、その後中の粘土等を取り除きます。中は空洞で木組みが中に有ります。空洞のため軽く火事などの時に動かしやすいという利点がありますが、造るのが難しいため近年では大きな仏像は造られておりません。
宝仙寺の日輪弘法大師像は脱活乾漆像で、彫刻家の関頑亭先生が制作方法の資料がほとんど残っていない中、長い時間をかけて制作の方法を研究して完成されました。関先生は、「脱活乾漆像は中が空洞のため、制作者の思いを込めるのが難しい」とおっしゃっていらっしゃいました。先生の思いがこもった日輪弘法大師像を、皆様も思いを込めてお参り下さい。
平成25年7月
宝仙寺住職 富田道生
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