2011年10月01日
今年の台風は異常にゆっくりな動きをするため、大変な被害をもたらしました。大震災に続いて日本列島は災害が多発しています。仮設住宅に移った方も、台風でまた被害を受けられました。まったくお気の毒です。
先日新聞で、古在豊樹(千葉大学名誉教授)氏が、植物生態学者の宮脇昭氏の提案を紹介していました。東日本大震災津波被災地における「森の長城」構想というものです。
海岸線沿いに幅数十メートルの土塁を通気性の良い瓦礫で築き、そこに深根性かつ直根性の土地本来の樹木を植える。高木・亜高木・低木と多層になる樹林は、堤防と違って、津波のエネルギーを分散・吸収する。津波の引き波には多層樹林がフェンスの役割をする、この樹林は20年以内にほぼ成熟するというものでした。
自然と対峙し力で抑えようと堤防をさらに高くしても、自然は想定外という事が起こります、そもそも想定外という言葉からして自然の力を甘く見ていることだと思います。人間は自然の力には勝てません。
昔から日本人は自然と調和し、自然の一部として人間がいるという考えであったと思います。今大震災の復興について政府は方策を考えておりますが、目先の事ばかり考えないで、宮脇昭先生のような長いスパンで自然と付き合っていく・調和していく方策を真剣に考えるのが、我々の次の世代の日本に繋げていく方法だと考えます。
さて、話は変わりますがホームページで紹介しました通り、八月に当寺の「鯰尾の兜」が新潟歴史博物館に出品されたのを見学に行き、その折に、新潟の寺泊や出雲崎のあたりを廻り、『良寛さん』の記念館にも寄ってきました。
夏の日本海は、冬の厳しい気候とは裏腹にとても穏やかで、人も少なくとてものんびりした静かな感じでした。
出雲崎近辺では、最近はあまり見掛けなくなった紙風船を所々のお店で見かけましたので、理由を聞いてみたところ、昔は冬になって海が荒れると漁に出られなくなって、収入が減ってしまうため漁師の奥さんたちが内職で紙風船を作っていたそうです。その為今でも紙風船がここでは売られているそうですが、実際に今紙風船を作っている会社はほんの少ししかないようですけれども、最近は色々な形のものがあって楽しいものです。
宝仙寺でも今回子供さん用に少しお願いしてみましたので、小さい子供さんがおいでの時は差し上げますのでおっしゃって下さい。
平成23年10月吉日
明王山宝仙寺 住職 富田道生
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